卵子と精子の出会いについて

♣月からくる赤ちゃん

ある日、卵子がふくれ上がった卵胞から飛び出します。多くの女性の場合、飛び出す周期は28~30日に1回です。

赤ちゃんは月からやってくる、といったら、「ワァ、ウソー」という人も

「なんてロマンチック!」という人も

「エッ、やっぱり月には生物がいたんですか」という人もあるでしょう。

“赤ちゃんが月からくる”というのは科学的真実です。

といっても、月面に生物がいないのは、一九六九年の米国NASAの月面探求ではっきりしていることで、「月から」というのは卵子の生命の仕組みが月周期に支配されているということなのです。

♣精子はどこからくるの?

では、精子はどうなのでしょうか。こちらは、常につくられ続けています。太陽リズムとでもいましょうか。卵子が月周期に支配されるほど明らかな支配はされていないようです。常にたくさんの、というところが精子の特徴であり、ひいては、男性の性行動や、社会行動まで規定しているといえそうです。

♣卵子と精子の旅

月周期に支配されて卵子は、28日(個人差がある)に一度、卵巣から腹腔に飛び出し、卵管に入って子宮に向かって泳いでいきます。

一方、精子は毎日毎日たくさんつくられ、射精というひきがねで放出されます。放出された場所が、幸いにして女性のからだの中であれば、精子の大群は、子宮へと上昇し、激烈に競争しながら、さらに卵管へ向けていっせいにさかのぼっていきます。

♣神秘的な卵子と精子の出会い

卵管を泳いでいた卵子は、おしょせてくる精子の潮流にのみこまれます。精子は目ざす女王に向かって、自分の生命を全うさせようと最後の総攻撃をかけます。

そのとき、真にとてもふしぎなことが起こります。

卵子はその大群の中からただひとつの精子を選び取り、細胞膜の中へ取り入れるのです。強力な精子が競争相手を退け倒して、強引に突入するように思えますが、実は卵子の側が精子を選びとっているのです。

こうして、2人は合体して、「受精卵」というひとつの細胞になりました。

♣受精卵の“ハネムーン”

合体した瞬間から受精卵は分裂を始めます。2コ、4コ、8コ………とその細胞分裂はものすごい速度で進行します。

そして、この受精卵は卵管の中の水流を子宮に向けて旅に出ます。おそらく宇宙で最高の、こころよいハネムーン旅行でしょう。

このとき、卵子と精子は受精卵というひとつの生命体として、すでにその父からも母からも独立しています。人間の原初のひとりたちが始まっているのです。温かい潮の流れにのりながら受精卵のハネムーンは3~5日ほど続き、やがて子宮という海に達しします。

そこでは受精という情報を受けとった子宮の内膜が、やわらかいベッドをモーレツな勢いで準備し出しました。

♣温かく卵を沈めるベッド

受精卵は6日間ほど浮遊しながら部屋中のいちばん気持ちよさそうな壁を探しあて、そこにからだを沈めます。合体が成立して約10日め、着床した卵は子宮内膜にもぐりこんで、母体から栄養をとりはじめようと始動します。